終わらない旅ほど 楽しいものはない
優しさと愛がつまった、奇跡みたいな舞台でした。
今回は中目黒方面からお届けします。
「勇者のために鐘は鳴る」
元々、演劇を見るのが好きで、きっかけは「戦国鍋TV」であり、「る・ひまわり」。
特に年末の明治座での舞台シリーズが大好き。
こんな感じの。これだけじゃ魅力が伝わらないと思うのだけれど。
舞台で活躍している役者を推している時期があったので、いろんな劇場へ行ったし、いろんな作品を見た。
板の上で生きている役者にどうしようもなく惹かれるらしい。
そう、いろんな作品を見た。好みなのも、そうじゃないのも。
降りてからも、あれは最高!これは虚無だ…という作品の感想は流れてきやすいTLなので、ネルケプランニング×LDHの評判に関しては、ちょっと不安があった。
それが、たとえ大好きな劇団EXILEであろうと。
結局は杞憂に過ぎなかったのだけれど。
むしろ、劇団のことを信じきれなかった自分に腹パンしたいぐらいである。
それほど、9人での最適解で最高な作品であった。推し冥利につきる。
あらすじは以下。
超人気オンラインゲーム「IGNITION(イグニッション)」の世界に集まった9名。
自分だけのオリジナルキャラクターを作り、仲間と会話しながら様々なクエストに繰り出す、夢の冒険ゲーム。
今回、課金ユーザーのためだけに行われる賞金1億円のスペシャル感謝クエストに参加した面々。様々な珍ミッションに立ち向かいながら、それぞれの目的が解かれていく...
そして、その先にある物語とは―
9名、そして客席を巻き込んで織り成す絶超エンタテイメントステージ!
雰囲気は上の動画で確認してもらって。損はさせません。
「勇者のために鐘が鳴る」、どこが良かったのか、あげればきりがない。
全体の印象としては、豪華なヒーローショー。まさにGロッソ。*2
映像の使い方、セットの構造、観客との交流。応援に「がんばれー!」の声援ではなく、サイリウムだけれど。
まず、鈴木伸之と町田啓太が兄弟役なのは、すでに優勝である。
フィジカルの鈴木、ロジカルの町田。ヲタクの妄想が実現した瞬間。
背中をあずけ合う姿が、そういうの見たかった大賞2020最優秀賞もんなので、最初からクライマックスであった。
お衣装も素敵。それぞれの役をより魅力的にしてくれて、衣装の役割について、考えてしまったものだ。
個人的な好みはY崎さん。裾の広がりが素敵なコートに3ピース着ているようなベスト、おまけに眼鏡で完全に癖を狙ってきていると言っても過言ではない。そして、演じる秋山真太郎さんにとってもぴったりでぐうの音もでない。
半蔵も好みだった。赤の忍者で、股下がゆったりしているのが、これもSWAYさんにぴったり。
役だけではなく、演じる本人にも寄り添って作られているのがみえて、嬉しくなってしまう。
326の後ろのプリーツも、大きく動くたびにヒラヒラしてよいアクセント。
そして、魔王が自分のテーマ「ホットパンツフィーバー」を歌うときのお衣装。往年のアイドルを彷彿とさせ、青柳翔さんのわがままボディが存分に堪能できて、これもまた良し。
そして、歌。
前述の「ホットパンツフィーバー」を歌う魔王のインパクトもさることながら、ジャックの歌うシーンがあるなんて、全く思ってなくて、不意打ちにその演出は鈴木くんのバックボーンを知ってる人には涙腺がゆるむものである。
VBAで落ちた身をHIROさんに拾われた鈴木くん。
CDデビューできなくても、きっかけである歌で魅せ場があること、これはずるい。見るたびに、ハンカチを濡らしていたのは仕方ないこと。
途中のクエストで、攻撃に歌を用いるシーンがあり、そこで披露されるY崎さんと半蔵のハーモニーは最高この上なく、マネしてハモりを習得しようとしたのはここだけの話。
極めつけは、エンディング。歌わない踊らない劇団EXILEに歌ができてました。
CDを発売している青柳さんはさることながら、VBAファイナリストの八木将康さん、鈴木くん、小澤雄太さん、小野塚勇人くんと歌えるんですよ、実は。
劇団が親ではあるものの、それまでは実際に舞台で見たことあるのが、小野塚くんのみ。*3
だから、鈴木くんの舞台映えする体躯や、町田くんの舞台だからって映像のときとそこまで演技の仕方変えてくるタイプではないことの気づきもあった。
相変わらず、小野塚くんは細かい演技するし、佐藤寛太くんの殺陣はキレがあってシュっとしてるけど、見ごたえがある。そして、圧倒的青柳さん。
物語は、9人それぞれの弱みを、それはそれとして受け止めて、お互いを支えながら進んでいく。敵はいないし、仲間はずれにもしない。優しさが連鎖していく。
拳で闘うことが多い事務所柄ではあるが、こんなに優しさに溢れた作品になれたことは、「原案プロデュース:劇団EXILE」だからじゃないだろうか。
自分たちがやりたいことをつめたらしいので、これが9人の最適解かと思うと、とてつもなく嬉しくって、いつも噛み締めて、大泣きしてしまうのである。
LDH PERFECT YEAR2020だった今年、新型ウィルスの影響で、多くのツアーが中止になった。
そんな中で、無事に幕があがり、無事に降りたこと、まぎれもなく奇跡。
始まるまでには1枚しかもってなかったチケットも、お友達に誘ってもらったり、当日引き換えで入ったり、東京千秋楽は当日券で入れたことも、奇跡だったように思う。
こんなに好きな作品に出会えて、それが劇団の舞台なことが、より嬉しい。
また、板の上の9人にどうしようもなく惹かれたい。また見れる日がくることを願う。その時には、メンバーが増えてるかもしれないけれど。*4